「トンボ」って、あの虫のトンボ?知っておくと少し面白い、印刷用語のはなし

みなさま、おはようございます!

高知の街で暖簾を掲げて70余年、近森謄写堂の3代目・近森純一郎です。

さて、そんな私たちが日々、お客様とお話ししていて、よく耳にするお悩みがあります。
それが、「印刷の専門用語って、なんだか難しくて気後れしてしまう」というお声です。

確かに、印刷の世界には普段の生活では使わない独特の言葉がたくさんありますよね。CMYK、ノンブル、塗り足し……。初めてチラシやパンフレット、名刺を作ろうとされているお客様にとっては、まるで外国語か呪文のように聞こえてしまうかもしれません。

そこで今回は、そんな印刷用語の中でも、特に「これって何のこと?」と聞かれることが多い「トンボ」という言葉について、できるだけ分かりやすく噛み砕いてお話ししてみたいと思います。

なぜ印刷の専門用語は難しく感じてしまうのか?

印刷の用語が難しく感じられる最大の理由は、それらの多くが「印刷会社の現場で働くプロのための共通言語」として発展してきたからです。

一般のみなさまが普段手にする印刷物は、きれいに切り揃えられ、きれいに綴じられた「完成品」です。しかし、それができあがるまでには、デザイン、データ作成、印刷、断裁、製本といった、いくつもの舞台裏の工程があります。それぞれの工程で、職人たちがミスなく、正確に作業を引き継いでいくために作られたのが印刷用語なのです。

私にとっては、子供の頃から工場の現場で当たり前のように飛び交っていた言葉ですが、一歩外に出れば馴染みがないのは当然のことです。だからこそ、お客様が「専門知識がないから相談しづらいな」と感じてしまうとしたら、それはとてももったいないな、と感じます。私たちはその敷居を少しでも低くして、もっと気軽にものづくりを楽しんでいただきたいと考えているんです。

「トンボ」って、あの虫のトンボのこと?

では、さっそく本題の「トンボ」についてお話ししましょう。
初めて印刷会社とやり取りをしたときに、「データにトンボはついていますか?」と言われて、頭の上にクエスチョンマークが浮かんだ方も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、印刷でいうトンボとは、印刷用データの四隅や中央にある「L字型や十字の形をしたマーク」のことです。専門的には「見当標(けんとうひょう)」と呼びます。

「じゃあ、なんで虫のトンボって呼ぶの?」と思いますよね。
実は、十字のマークの形が、昆虫のトンボが羽を広げて止まっている姿に似ていることから、日本の印刷現場でそう呼ばれるようになりました。意外と直感的で、ちょっと可愛らしい由来だと思いませんか?

では、このマークがなぜ必要なのか。決して飾りではなく、印刷物を綺麗に仕上げるために、なくてはならない重要な役割を果たしているのです。

トンボが果たしている、とても重要な2つの役割

この「トンボ」という小さなマークには、主に2つの大きなお仕事があります。

1つ目は、「断裁(カット)の目印」としての役割です。
実は、印刷会社でチラシやパンフレットを作るとき、最初からA4やB5といった仕上がりサイズぴったりに切られた紙に印刷しているわけではありません。それよりも一回り大きな紙に印刷し、後から巨大なカッター(断裁機)で余分な端っこをスパッと切り落としています。
その際、カッターを当てる位置を正確に教えてくれるのがトンボです。これがないと、どこで切っていいか分からず、印刷物が斜めに曲がったり、サイズがバラバラになったりしてしまいます。

2つ目は、「色をぴったり重ねるための位置合わせ」です。
カラー印刷は、青(シアン)、赤(マゼンタ)、黄(イエロー)、黒(ブラック)という4つのインクのドットを精密に重ね合わせて、すべての色彩を表現しています。
もし、この4つのインクの位置が1ミリでもズレてしまったらどうなるでしょう。写真がボケてしまったり、文字の周りに変な色が見えてしまったりして、とても見づらい印刷物になってしまいます。
そうならないよう、4つの色がきちんと1箇所に重なっているかを確認するための「照準」としても、トンボが活躍しているのです。

わからない言葉は、そのまま「表現の相談所」へ

ここまでトンボの役割についてお話ししてきましたが、大切なことをひとつお伝えさせてください。
それは、「お客様自身が、これらの用語を完璧に覚える必要はまったくありません」ということです。

「WordやPowerPointでチラシを作ったけれど、トンボなんて付けられない」
「仕上がり線の外側まで色を伸ばすってどういうこと?」

そんな疑問や不安が浮かんだら、どうぞそのままの状態で、私たち近森謄写堂にご相談ください。

私たちは、ただお客様からいただいたデータを機械に流して刷るだけの印刷会社ではありません。お客様が「これを作って、誰に何を伝えたいのか」という想いを形にするための「グラフィックサービス業」であり、何でも気軽に聞ける「表現の相談所」でありたいと思っています。紙以外の表現も含めて、何が一番いい方法かを一緒に考えるのが私たちのスタイルです。

データの調整や、難しい専門用語の処理は、プロである私たちの仕事。
高知の中小企業のみなさま、自治体や団体の広報担当者さま、そして個人のクリエイターのみなさま。専門知識 of 専門用語の有無を気にする必要は一切ありません。みなさまはどうぞ、「こんなものを作ってみたい」「ここで困っている」というワクワクや、等身大の困りごとだけを持って、私たちの扉を叩いていただければ嬉しいです。