ゴールデンウィーク真っ只中。
皆さま、いかがお過ごしでしょうか。近森謄写堂の3代目、近森純一郎です。
私たちは高知で70年、印刷という仕事を通じて多くの方々と歩んできました。
「近森さんとこに頼んだら、なんとかしてくれるろう」
そんな風に言っていただけるのが、私にとって何よりの喜びです。
今日は、私たちのちょっとした「こだわり」についてお話しさせてください。
それは、納品の際にお客様の品物を包む「包装紙」のことです。
実は、私たちの会社では、仕入れた紙を包んでいた包装紙を、捨てずに再利用することがあります。
「えっ、老舗なのに新しい紙で包まないの?」
そう思われるかもしれません。でも、そこには私たちが大切にしている、ある「想い」が詰まっているのです。
祖父が教えてくれた「紙への敬意」という遺産
この話をするとき、どうしても外せないのが私の祖父、つまり創業者のことです。
祖父は、それはそれは「紙」を大切にする人でした。
昔の印刷現場は、今よりもずっと過酷で、紙一枚を調達するのも大変な時代があったと聞いています。祖父は、仕入れた紙を保護している丈夫なクラフト紙(包装紙)を、破かないように丁寧に、本当に丁寧にはがしていました。
そして、そのシワを一つひとつ手で伸ばし、きれいに畳んで保管しておく。
「この紙は、中身を命がけで守ってきたがやき。まだまだ働ける。捨てるのはかわいそうやろう」
祖父はよくそう言っていました。
その姿を見て育った私も、自然とその習慣を受け継ぎました。
今でも、弊社に届いた大きな紙の包みを解くときは、まるで宝箱を開けるような気持ちになります。
この包装紙を再利用することは、私たちにとって「ケチ」をしているのではなく、祖父から続く「紙への敬意」を形にしていることなのです。
「印刷会社」から「グラフィックサービス業」への進化
私たちは今、自分たちの仕事を単にインクで文字を載せるだけの「印刷会社」だとは思っていません。
お客様が抱える「どう伝えたらいいだろう?」「こんなことで困っている」という悩みに対し、デザインやアイデアで応える「グラフィックサービス業」でありたいと考えています。
いわば、表現の相談所です。
そんな私たちが、なぜあえて「古い包装紙」を使うのか。
それは、私たちが「本質」を大切にしたいからです。
見た目だけを新しく整えることは簡単です。でも、一度役目を終えたはずの紙が、私たちの手でもう一度息を吹き返し、お客様の大切な印刷物を守る役割を担う。
この「再生の物語」こそが、私たちが提案したい「表現」のひとつでもあるのです。
再利用する包装紙は、どれも丈夫で、どこか温かみのある手触りをしています。
新しい紙にはない、少しだけ使い込まれたような独特の風合い。
それは、私たちが長年高知で培ってきた「信頼」の厚みにも似ているような気がしています。
「きれいな再利用」という、手間暇かけたおもてなし
もちろん、何でもかんでも再利用しているわけではありません。
破れているものや、汚れがあるものは使いません。
私たちが再利用するのは、あくまで「きれいな状態」のものだけです。
スタッフが丁寧にシワを伸ばし、角を揃え、まるで新品の服にアイロンをかけるようにして準備します。
実は、新しい包装紙をロールから引き出して使う方が、ずっと効率的で楽なんです(笑)。
でも、あえて手間をかける。
それは、お客様にお届けする品物だけでなく、それを取り巻くすべてのプロセスに責任を持ちたいからです。
「近森さんとこは、包み紙一枚にまで気を配ってくれるね」
もしそう感じていただけたなら、これほど嬉しいことはありません。
私たちが包装紙を再利用するのは、コスト削減のためだけではありません。
お客様からお預かりした大切な原稿を、最高の形で形にし、それを守り抜いてお届けする。
その「一連の流れ」に、私たちの70年の歴史を込めたい。
そのための、ちょっと不器用で、でも誠実なこだわりなのです。
もし「再利用の紙」で届いたら、それは幸運の証です
もし、お手元に届いた商品の包み紙が「あ、これ再利用の紙だな」と気づかれたら…。
どうか、「ラッキー!」と思っていただきたいのです。
というのも、再利用できるほど状態の良い包装紙は、実はそれほど多くありません。
つまり、再利用の紙で届いたということは、
「最高に状態の良い紙が手に入り」
「熟練のスタッフが、手間を惜しまず包んだ」
という、ダブルの幸運が重なった証拠なのです。
ちょっと大げさかもしれませんが、私は本気でそう思っています。
その包み紙には、創業者が大切にした「もったいない」の精神と、私たちがお客様に届けたい「誠実さ」が二重、三重に包み込まれています。
私たちは、これからも高知の「表現の相談所」として、新しい技術や感性を取り入れながら、古き良き伝統も守り続けていきます。
紙のことはもちろん、チラシ、パンフレット、あるいは「こんなことできないかな?」という漠然としたご相談まで。
どうぞ、お気軽にお声がけください。
使い込まれた包装紙のような、深みと温かみのある提案をご用意して、お待ちしております。
あ、今度お届けする時は、ぜひ包み紙の隅々まで見てみてください。
そこには、私たちの「ありがとうございます」という想いが刻まれています。