お客様が印刷発注で悩むポイント

いつも「近森謄写堂」のブログをご覧いただき、ありがとうございます。三代目の近森純一郎です。

高知の街で、祖父の代から数えて70年。私たちは「印刷会社」として歩んできましたが、私の代では自分たちの役割を少し広げて「グラフィックサービス業」と呼んでいます。単に紙にインクをのせるだけではなく、お客様の「伝えたい」という想いを形にするための相談所でありたい。そんな願いを込めて、日々、机に向かったり、お客様の元へ足を運んだりしています。

最近、初めて印刷物を発注しようとされているお客様から、「何が分からないのかが分からないんです」という正直なご相談をいただくことが増えました。ネットで検索すれば、格安の印刷サービスがいくらでも出てくる時代です。でも、その画面を前にして、多くの人が「これでいいのかな?」と立ち止まってしまう。

そこで今回は、印刷のプロではない「慣れていない」の方が、いざ発注しようとしたときに直面する「4つのお悩み」にフォーカスして、私なりの考えを綴ってみたいと思います。

1. 「何から手をつければいいのか」という、漠然とした不安

一番多く、そして一番深いお悩みがこれです。
「チラシを作らなきゃいけないけれど、そもそも何を載せたらいいのか」「手元にはバラバラの資料しかないけれど、これだけで頼めるのか」。そんな、スタート地点が見えないという不安です。

多くの印刷会社は「完成したデータ」をもらうことを前提としています。しかし、一般の方にとって「完成データ」を作るのは至難の業です。デザインソフトを持っているわけでもなければ、プロのようなレイアウトができるわけでもありません。

私は、この「白紙の状態」こそが、私たちが一番お役に立てるタイミングだと思っています。
お客様がやりたいことは何か。集客なのか、告知なのか、それとも思い出作りなのか。お茶を飲みながら雑談するように、あなたの頭の中にある「ぼんやりしたイメージ」を聞かせてください。

私たちは、その断片を拾い集め、整理し、最適な形を提案する「表現の相談所」でありたいと考えています。何から手をつければいいか分からないときは、無理に自分で整理しようとせず、そのままの形で見せに来てください。それが一番の近道になることが多いんです。

2. 「専門用語」という高い壁にぶつかる

印刷の世界には、不思議な言葉がたくさんあります。
「アウトライン」「塗り足し」「CMYK」「コート紙 110kg」……。
これらは、印刷機を動かすためには必要な情報なのですが、初めての方にとっては、まるで外国語を聞いているような気分になるかもしれません。

「専門用語を知らないと、馬鹿にされるんじゃないか」「うまく注文できないんじゃないか」と心配される方もいらっしゃいますが、どうぞご安心ください。私は、お客様が印刷の専門用語を覚える必要は全くないと考えています。

厚い紙がいいのか、ツルツルした紙がいいのか。
「高級感を出したい」「温かみのある手触りにしたい」といった、五感に訴える言葉で伝えていただければ十分です。私たちはそれをプロの言葉に翻訳し、形にします。

専門用語は、私たちが円滑に作業するための道具に過ぎません。それでお客様を混乱させてしまっては本末転倒です。分からない言葉があれば、遠慮なく「それ、どういう意味?」と聞いてください。噛み砕いて説明するのも、私たちの「サービス」の大切な一部ですから。

3. 「デザイン」をどう用意すればいいか分からない

「デザインは自分で作らなきゃいけないんですよね?」
これもよく聞かれる質問です。確かに、WordやExcelで作ったデータだと、印刷会社によっては「そのままでは印刷できません」と断られてしまうケースもあります。

でも、近森謄写堂では、手書きのラフスケッチでも、スマホで撮った写真一枚からでも相談に乗ります。もちろん、綺麗なデザインデータをご用意いただければスムーズですが、それが難しいからといって諦めてほしくないんです。

「昔のチラシを少しだけ直して使いたい」「自分で書いた文字をそのままロゴにしたい」。そんな要望こそ、私たちの出番です。
最新のデザインソフトを使いこなしながらも、根底にあるのは「お客様の想いをどう表現するか」という泥臭いまでの誠実さです。

カッコいいだけのデザインではなく、見た人が「あ、これいいな」と感じる温度のあるデザイン。それを一緒に作っていければ、これほど嬉しいことはありません。データの作り方で悩む前に、まずは「こんなことがしたい」という熱意をぶつけてみてください。

4. 「適切な数量とコスト」の正解が見えない

「何枚刷るのが一番お得ですか?」というご質問もよくいただきます。
印刷の世界では、一度にたくさん刷れば刷るほど、一枚あたりの単価は安くなります。ネット印刷などを見ていると、1,000枚も2,000枚も値段がほとんど変わらない、なんてこともあります。

そこで多くの方が「じゃあ、多い方がお得だからたくさん刷っておこう」と考えがちですが、ここに落とし穴があります。結局使い切れずに、大量の在庫が事務所の隅で眠ってしまう……。これは本当にもったいないことです。

私たちは、単純な単価の安さだけを追求しません。
「このイベントの規模なら300枚で十分ですよ」「まずは100枚刷って、様子を見てから追加しましょう」といった、お客様の状況に合わせた提案を心がけています。

今は「オンデマンド印刷」という、少部数でも高品質に、しかも安価に刷れる技術が発達しています。70年の歴史で培った「オフセット印刷」の美しさと、現代の小回りがきく「オンデマンド印刷」。この二つをどう使い分けるかが、三代目の腕の見せ所だと思っています。無駄なコストをかけず、最大限の効果を出す。それが、信頼いただけるパートナーへの第一歩だと信じています。

最後に:小さな「困った」を、大きな「安心」へ

印刷物を一つ作る。それは、あなたやあなたの会社の「顔」を作ることでもあります。
だからこそ、悩んで当たり前なんです。一人で画面に向かって唸っている時間は、もしかしたら一番もったいない時間かもしれません。

私は、この高知という場所で、顔の見える関係を大切にしたいと思っています。
「近森さんとこに相談して、肩の荷が下りたわ」
そう言っていただけるのが、私にとって何よりの報酬です。

印刷のことで悩んだら、まずは雑談をしに来るような気持ちでお声がけください。
コーヒーを一杯飲む間に、解決の糸口が見つかるかもしれません。
70年続いてきた安心感と、これからの時代を作る新しい感性で、あなたの想いを全力でサポートさせていただきます。

あなたの一歩を、近森謄写堂はいつでもお待ちしています。